削り出し(切削加工)と比較すると、鋳造は材料ロスを大幅に抑えられるため、調達コストの改善に直結します。当社(昭和24年創業の銅鋳物・アルミ鋳造メーカー)で実際に行ってきた砂型鋳造の事例を交え、「なぜ鋳造がコストダウンに強いのか」を調達担当者の視点でわかりやすく解説します。
まず知っておきたい、材料費が“ムダ”になる仕組み
あなたのコストを押し上げる「材料ロス」の正体
削り出し加工では、材料ブロックから必要形状まで大きく削り落とすため、どうしても高い材料ロスが発生します。
特に銅やアルミ材は単価が高く、捨てるだけの部分がそのまま“調達コストのムダ”になります。
当社にも「同じ形状なのに調達コストが合わない」「複雑形状ほど材料費が跳ね上がる」などの相談が多く寄せられますが、原因の多くは材料ロスの大きさにあります。
削り出し加工が高くつく理由をわかりやすく解説
削り出しは、「材料」「加工時間」「工具摩耗」のすべてが積み上がる工法です。
その結果、材料代・加工代・工具代がすべて増え、トータルコストが膨れ上がります。
なぜ鋳造は材料ロスが少なく、コストに効くのか?
必要形状に“最初から近い形”で作れる鋳造の強み
鋳造(特に砂型鋳造)は、溶かした金属を型に流し込み、完成形に近い形で固めます。銅鋳物やアルミ鋳造では、複雑な形状や空洞も最初から成形でき、削り量を最小限にできます。
つまり、「最初からほぼ必要な形に作れる」ことで、材料ロスそのものを劇的に減らせるのです。



歩留まり改善とコストダウンのメカニズム
鋳造化することで、一個あたりの必要材料が大幅に減り、歩留まり(材料使用効率)が向上します。砂型鋳造は型設計の自由度が高く、材質や形状に合わせた最適な設計ができる点もメリットです。
工程ロスが減るため、メーカー側でも総コストが下がり、見積金額にも反映しやすくなります。
実際にどれだけ変わる?コスト改善のリアルな事例
削り出し→鋳造に切り替えて材料費が半減したケース
当社が担当したポンプ部品では、削り出しから銅鋳物へ切り替えた結果、
・材料費が約50%削減
・加工工数が20〜30%削減
という改善が実現しました。
従来は削り落としていた部分を、鋳造化によって“最適な肉厚”で成形できるようになったことが要因です。
複雑形状でも鋳造化で加工工数が大幅に減った事例
別案件では、内部流路が複雑なアルミ部品をアルミ鋳造へ切り替えたことで、加工時間が約半分に。砂型と中子を活用して流路を最初から形にすることで、加工負荷が大きく下がりました。
「複雑形状=削り出し」という先入観は強いですが、実は砂型鋳造のほうが得意な形状も多くあります。
今日から使える!あなたの調達でコスト改善を実現するために
鋳造化の相談前に準備すべき図面・情報
鋳造化をスムーズに進めるために、以下の情報を準備しておくとスピーディです。
・使用環境(圧力・温度・海水など)
・必要な材質(銅・青銅・アルミなど)
・必要公差や加工面
・年間ロットと数量
・既存品の課題点
これらが揃うと、最適な砂型構造や型設計、歩留まり条件が提案しやすくなります。
サプライヤー選びでチェックすべき3つのポイント
1)鋳造〜機械加工まで一貫対応できるか
→ 工程が分散すると、納期やコストの変動リスクが増えます。
2)複雑形状への提案力があるか
→ 型設計力はコスト改善と品質安定性に直結します。
3)材質ごとの鋳造経験が豊富か
→ 銅鋳物・アルミ鋳造は材質特性が大きく異なるため、知識と経験が不可欠です。
鋳造化は、材料費だけでなく、加工工数・歩留まり・リードタイムなど多方面に効果があります。
「うちの部品も鋳造でいける?」という初歩的な相談からでも問題ありません。
当社の技術と経験を活かし、調達コスト改善を最短距離でお手伝いします。


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